命を生み出すということ

とても個人的な話をすると

数年前、ホントにほんの数年前まで、つくもは子どもに恵まれなかったことを受け入れることができなかった。
だからといって不妊治療をしたわけでも、出産や育児にまつわる覚悟なんて何も持ち合わせていなかったから、まあ、今となってはこれで良かったのだと思えている。
知人のおめでたニュースにも、有名人の高齢出産の記事にも特に複雑な感情を抱くことなく自然に受け止めている(と思っている)。
それでも、今回のお芝居では自分の奥底にクシャクシャに丸めて押し込んだ感情をツンツンとされた。
この番組ではお馴染みのライターたかいさんが作、演出をつとめる舞台が神戸であるというので久しぶりに東へ向かう電車に乗った。

神戸ドラマ倶楽部第25回公演「もっくりこ」

神戸アートビレッジセンターKAVCホールで2021年7月17日18日の2日間全4回公演の最終回を観劇した。

小さな島にある代理出産専門クリニックを舞台に繰り広げられる物語。

パンフレットに載っている鷹居さんの説明によると
「もしも濃厚接触の禁止により子どもがうまれなくなったとしたら、代理出産を請け負う施設が出来るかも、デザイナーベビーが増えるかも、そんな世界では人間な人間関係は何が変わって何が変わらないのか」と妄想したらしい。

役者の皆さんも分かりやすくて、私は良かったなと感じた。複雑な人間関係なのに展開についていけるのはそのキャラクターだからこそだし。アクセントになってる「配達人」がお気に入りキャラだった。

楽しく観終えた。たかいさんの創る舞台は過去何回も観ていて、後味の悪いものはひとつも無い。だから、安心していた。
でも忘れていた。
ヤツの作品には毎回ちょっとだけ泣かされること。
途中バッグの中からハンカチをそうっと捜すのに苦労したのだけが…。

子どもを持てなくても、誰かの子どもではあって、登場人物の一人が相手の頭をポンポンよしよしするシーンでは、亡き父に頭を撫でられているようなそんな温かくて切ない気持ちになって。

命を生み出すこと、お腹を痛めていなくても親になることは出来る。私にもう少し覚悟があったらそんな道もあったのだろうか…。

気になるタイトルについては作品中にひとことも出てこなかった気がするけれど、小豆島の方言らしい。調べたらすぐ出てくるのでどうぞ。
そいつはさりげなく登場するけれど、その意味するところはみんなの抱えているものにも通じている。
設定はかなり大胆なものだったけれど、男女が入れ替わることで問題の本質がすんなり理解できたり。たかいさん、相変わらずウマイなぁ。

彼女の脚本には必ず美味しいものへの執着が垣間見られるセリフが出てくる。
また美味しいものを一緒にわいわい食べられる日が来てほしい。

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